【審査の裏側公開】ファクタリング会社が最も注目する「売掛先の信用力」を高める方法

「またファクタリングの審査に落ちた…うちの会社はそんなに信用がないのか?」

今、この画面の前で、そんな風に肩を落としている社長さんはいませんか。

月末の支払いを前に、藁にもすがる思いで申し込んだのに、返ってきたのは非情な「審査落ち」の連絡。
自分の会社や、これまでの頑張りを全否定されたような気持ちになりますよね。
その気持ち、痛いほどよく分かります。

私自身、かつて社員15名のアパレルベンチャーでCFOとして資金繰りに奔走し、眠れない夜を何度も過ごしましたから。

しかし、もし審査落ちの理由が「あなたの会社」ではなく、実は「取引先」にあるとしたら、どうでしょう?

こんにちは。
元・資金繰り泥沼CFO、現在は中小企業の資金繰り改善コンサルタントをしている神田 誠です。
これまで115社の赤字企業を支援してきた経験から断言します。
ファクタリング審査の鍵は、あなたの会社ではなく、9割が「売掛先の信用力」で決まります。

この記事では、ファクタリング会社がなぜそこまで売掛先を重視するのか、その「審査の裏側」を徹底的に解説します。
そして、どうすればその壁を乗り越え、大切な資金を調達できるのか、具体的なアクションプランまでお伝えします。

もう、一人で悩む必要はありません。
さあ、数字に血を通わせ、未来を創るお金の羅針盤を一緒に手に入れましょう。

なぜあなたの会社ではなく「売掛先の信用力」が最重要なのか?

まず、多くの経営者が誤解している大原則からお話しなければなりません。
このボタンを掛け違えると、何度申し込んでも同じ結果を繰り返すことになってしまいます。

ファクタリングは「借金」ではなく「権利の売買」という大原則

銀行融資は、あなたの会社を信用して「お金を貸す」行為です。
ですから、審査の主役は当然、あなたの会社の財務状況や事業計画になります。

一方で、ファクタリングは融資、つまり借金ではありません。
これは、あなたの会社が持っている「売掛金(請求書)を受け取る権利」をファクタリング会社に「売却する」取引です。

要するに、商品を売るのと同じだと考えてみてください。
あなたがリンゴ農家なら、リンゴを八百屋に売りますよね。
ファクタリングは、あなたが持っている「請求書」という商品を、ファクタリング会社という専門の業者に買い取ってもらうイメージです。

ファクタリング会社の唯一のリスクは「売掛金の未回収」

この「権利の売買」という視点に立つと、ファクタリング会社の考えていることが手に取るように分かります。

彼らにとって最大のリスクは、買い取った請求書のお金が期日通りに支払われないこと。
つまり、売掛先が倒産したり、支払いを拒んだりして、売掛金が回収できなくなる(貸し倒れ)ことです。

あなたの会社が赤字かどうかは、実は二の次。
極端な話、あなたの会社が明日倒産したとしても、売掛先が健全でさえあれば、ファクタリング会社は売掛金を問題なく回収できます。

だからこそ、彼らはあなたの会社よりも、お金を支払う「売掛先」の信用力を血眼になってチェックするのです。

神田の経験談:銀行融資とファクタリング審査の決定的な違い

私がCFOとして泥沼の中にいた頃、銀行の担当者からはいつもこう言われました。
「神田さん、この事業計画では…」「この赤字をどう説明するんですか?」と。
審査の矢印は、常に私たちの会社に向いていました。

しかし、ファクタリングは違います。
ある時、どうしても資金が足りずファクタリングを利用した際、担当者が熱心に調べていたのは、私たちの決算書ではなく、取引先の情報でした。
「この取引先さんとは、もう長いんですか?」
「支払い遅延は一度もありませんか?」

この経験は、私にとって目から鱗でした。
お金の調達方法は一つじゃない。
見るべき角度を変えれば、たとえ自社が苦しい状況でも、まだ打つ手は残されているのだと。
お金は、社長の「不安のバロメーター」ですが、その針を動かす要因は一つではないのです。

ファクタリング会社は「ここ」を見ている!売掛先の信用力チェックリスト

では、ファクタリング会社は具体的に売掛先の何をチェックしているのでしょうか。
これは彼らの「値付け」の基準そのものです。
あなたの持っている請求書(売掛債権)が、彼らにとって「安全な商品」かどうかを判断するポイントを見ていきましょう。

会社の規模や安定性(上場企業か、設立年数は長いか)

まず最も分かりやすい指標が、企業の社会的な信用度です。

  • 企業の形態: 国や地方公共団体、上場企業やその子会社といった、いわゆる「大企業」が相手であれば、信用力は非常に高いと評価されます。逆に、個人事業主は法人に比べて信用力が低いと見なされる傾向があります。
  • 設立年数: 創業から長く事業を続けている会社は、それだけで社会的な信用がある証拠です。
  • 資本金や従業員数: 企業の体力や規模を示す指標として、当然チェックされます。

これは、畑仕事に例えるなら「土地の豊かさ」のようなものです。
長年、たくさんの作物を育ててきた豊かな土地(=安定した大企業)は、これからも美味しい実り(=確実な支払い)をもたらしてくれるだろう、と期待できるわけです。

経営・財務状況(赤字続きではないか、支払い遅延はないか)

次に、その会社が現在、健全な経営状態にあるかを見ます。

ファクタリング会社は、帝国データバンクや東京商工リサーチといった信用調査会社の情報を利用して、売掛先の経営状況を客観的に調査します。
赤字が続いていたり、他の取引で支払いが遅れていたりする情報があれば、当然、評価は厳しくなります。

これは、航海で言うところの「天気図」です。
目的地(=支払い期日)までの航路が晴天なのか、それとも嵐が来そうなのか。
プロの船乗り(=ファクタリング会社)は、必ず天気図を確認してから船を出すのです。

あなたとの取引実績(取引は安定的・継続的か)

最後に、意外と見落としがちなのが、あなたと売掛先との関係性です。

  • 取引期間の長さ: ポッと出の新規取引先より、長年付き合いのある取引先の方が信用されます。
  • 取引の継続性: 毎月安定して取引がある方が、単発の取引よりも評価は高くなります。
  • 過去の支払い実績: これまで一度も支払い遅延がない、という事実は何より雄弁な信用の証です。

これは、その請求書が「本物」であることの証明にもなります。
残念ながら、架空の請求書で資金をだまし取ろうとするケースもあるため、ファクタリング会社は取引の実態を慎重に確認するのです。

今日からできる!売掛先の信用力を「見極め」「高める」3つのアクション

「分かった。でも、取引先の信用力なんて、こちらでコントロールできないじゃないか」
そう思いましたか?

その通りです。
他人の会社の経営を、我々が直接どうこうすることはできません。

しかし、諦めるのはまだ早い。
発想を転換するのです。
「信用力を高める」のではなく、「信用力の高い取引を自ら創り出す」という視点に切り替えましょう。
今日からできる具体的なアクションは3つあります。

アクション1:そもそも「信用力の高い相手」と取引する

これは最も本質的な対策です。
日々の営業活動の中で、取引先の与信管理を意識することが、未来の資金繰りを楽にします。

もちろん、ビジネスは相手を選んでばかりもいられません。
しかし、例えば複数の取引先から大口の契約が取れそうな時、「将来ファクタリングで資金化するかもしれない」という視点を持っていれば、より経営が安定している企業を優先するという判断もできるはずです。

あなたの会社の未来を守るために、取引先の経営状況にも少しだけ関心を持ってみてください。

アクション2:継続的な取引で「優良な実績」を積み上げる

一つの取引先と、長く、安定した関係を築くこと。
これは、あなたの会社の事業を安定させるだけでなく、いざという時の資金調達の道を拓くことにも繋がります。

毎月きちんと納品し、請求を上げ、期日通りに入金される。
この当たり前の繰り返される記録が、ファクタリング会社にとっては「この請求書は信頼できる」というお墨付きになるのです。

目先の利益だけを追うのではなく、優良な取引先との関係をじっくり育てる。
これも立派な財務戦略の一つです。

アクション3:支払いサイトが「短い売掛債権」を交渉する

支払いサイト(請求から入金までの期間)が長ければ長いほど、その間に売掛先が倒産するリスクは高まります。
ファクタリング会社も、当然サイトが短い債権を好みます。

もし可能であれば、取引先に「支払いサイトを短縮できないか」と交渉してみるのも一つの手です。
例えば、「サイトを30日短縮してくれたら、1%値引きします」といった交渉は、キャッシュフローを劇的に改善させる可能性があります。

すぐに結果は出ないかもしれません。
しかし、この「交渉する」という意識を持つことが、経営者の第一歩です。

もし売掛先の信用力に自信がない場合の「3つの次の一手」

とはいえ、中小企業の取引は、相手を選べないことも多いのが現実です。
もし、今あなたが持っている売掛債権の信用力に自信がない場合でも、まだ打つ手はあります。

1. 2社間ファクタリングを検討する

ファクタリングには、売掛先に通知して承諾を得る「3社間」と、あなたとファクタリング会社の2社だけで契約する「2社間」があります。
一般的に3社間の方が手数料は安いですが、審査は厳格です。

2社間ファクタリングの場合、売掛金の回収は一旦あなたの会社が行い、その後ファクタリング会社へ送金する流れになります。
そのため、売掛先の信用力に加えて、あなたの会社の信用力も少し加味される傾向があります。
3社間で断られた場合は、2社間で相談してみる価値はあります。

2. 他の「優良な売掛債権」で申し込む

もし複数の売掛先があるなら、最も信用力が高いと思われる売掛先の債権で申し込むのが鉄則です。
A社の請求書で断られても、B社の請求書なら通る、ということは日常茶飯事です。

自分の手元にあるカード(売掛債権)をもう一度見直し、最も強いカードで勝負しましょう。

3. 独自の審査基準を持つ「独立系ファクタリング会社」に相談する

ファクタリング会社には、銀行系の会社と、独自の審査基準を持つ「独立系」の会社があります。
銀行系は審査が厳しい分、手数料が安い傾向にあります。

一方で独立系の会社は、手数料は少し高くなるかもしれませんが、企業の状況に合わせて柔軟に審査してくれる場合があります。
一つの会社に断られたからといって、すべての会社がダメだと諦める必要は全くありません。

まとめ:あなたの未来は「取引先リスト」の中にある

今回は、ファクタリング審査の裏側と、その鍵を握る「売掛先の信用力」について、私の経験を交えながらお話ししました。

最後に、今日のポイントをまとめます。

  • ファクタリングは「借金」ではなく「権利の売買」。だから審査の主役は「売掛先」。
  • ファクタリング会社は、売掛先の「規模・安定性」「経営状況」「あなたとの取引実績」を見ている。
  • 他社の信用力は変えられない。だから「信用力の高い取引を創り出す」視点を持つ。
  • もし自信がなくても、「2社間」「他の債権」「独立系」など、まだ打つ手は残されている。

資金繰りは、荒波を進む航海のようなものです。
時には嵐に見舞われ、港が全く見えなくなることもあるでしょう。

しかし、羅針盤さえあれば、必ず次の港にたどり着けます。
あなたにとっての羅針盤とは、自社の数字を正しく理解し、今回のような資金調達の知識を武器にすることです。

もう、夜中に一人で通帳を眺めてため息をつくのは終わりにしましょう。
あなたの会社の未来を変える力は、すでにあなたの中にあります。

まずは、電卓を握ることから始めましょう。